阪神“たいせつ”ストーリー

Vol.07

私たちが届けてきた
『先進性』とは

私たちが届けてきた『先進性』とは

写真左:東浜発電所(1921年)
写真右:ベイ・コミュニケーションズ

阪神沿線に電気を供給

阪神電気鉄道では、電気の供給事業もいち早く行っていました。沿線各地に電灯・電力の供給希望者が多い状況を踏まえ、鉄道開業直前に定款の目的に追加し、1908年、関西の電鉄会社で最初に参入しました。尼崎・御影・東浜の各発電所を設け、最大で沿線27市町村に電気を届けていました。1942年、戦時下の国策により関西配電に電気供給事業を引き継ぎましたが、長らく鉄道事業とともに沿線の生活インフラを支え、地域の発展に寄与しました。

電灯・電力勧誘チラシ(1928年頃)

電灯・電力勧誘チラシ(1928年頃)

都市型ケーブルテレビ事業に積極参入

情報化が時代の趨勢となりつつあった1980年代、阪神電気鉄道は都市型ケーブルテレビ事業の調査研究を始め、1986年の芦屋市を皮切りに、1989年に尼崎市、1990年に西宮市、1991年に大阪ベイエリアと、沿線の行政区域に設立されたケーブルテレビ運営会社に次々資本参加していきます。明治末期における電気供給のごとく、沿線に居住する人々が、より快適な暮らしを送るために有用なインフラの提供に貢献していくこととなります。

「チャンネルウェーブあまがさき」のステッカー

「チャンネルウェーブあまがさき」のステッカー

持続可能なまちづくりの担い手として

2000年以降、阪神電気鉄道は、放送のデジタル化対応、インターネット等の通信事業への展開を見据えてケーブルテレビ事業の再編を進め、2004年に大阪市西部と尼崎・西宮・伊丹の各市域をカバーする日本最大規模のケーブルテレビ会社「ベイ・コミュニケーションズ」が誕生しました。その後、姫路ケーブルテレビ(2012年)、BAN-BANネットワークス(2019年)も阪神グループに加わり、広域で放送・通信インフラを支えるとともに、自治体と連携して持続可能なまちづくり(まちづくりDX)にも取り組んでいます。

まちづくりDXホームページ

まちづくりDXホームページ

120th アナザーストーリー

街の電気屋さんでもあった阪神電気鉄道

阪神電気鉄道は、開業間もない1906年11月に電気供給事業の経営許可を得て、1908年10月から電灯・電力供給の営業を開始します。その後、電灯需要の堅調な増加もあり、大正から昭和初期にかけて、不動産事業とともに兼業の二本柱をなすまでに発展しました。
そのような中、阪神電気鉄道では、家庭用電力の需要喚起を図るため、家電製品の普及にあわせて多種多様の電気器具を宣伝・販売しました。1931年12月には御影に電気百貨店を開業し、電気スタンド展示会を開くなど、明灯明視運動(明るい電灯をつけて近視を減らそうという運動)を活発に展開しました。このほか、電気器具の販売やアフターサービスの拠点として営業所網の充実も進め、1935年には電灯事務所17か所、散宿所(作業要員詰所のようなもの)5か所を設けていました。
当時の社員の回顧録によると、「六甲山頂のオリエンタル(ホテル)の向いの六甲山阪神電灯営業所を訪れ、阪神間を一望し、工場の煤煙に随喜し、夜空の下点滅する果てしらぬ電灯の灯の海にいかばかり誇らかに胸を張った」とあり、往時の電灯・電力事業の隆盛ぶりがうかがわれます。

電気事業経営許可状

電気事業経営許可状

御影電気百貨店

御影電気百貨店

千船電燈営業所

千船電燈営業所

十合呉服店の台所展覧会に出品した「電気台所」

十合呉服店の台所展覧会に出品した「電気台所」

明視スタンド パンフレット

明視スタンド パンフレット

電気ストーブ ポスター

電気ストーブ ポスター