Vol.01
私たちが届けてきた
『先進性』とは
電気鉄道の先駆けとなる
新たなビジネスモデルへの挑戦
日本で初めて「都市間を広軌高速の電気鉄道で結ぶ」というビジネスモデルに挑んだ阪神電気鉄道。当時の日本は、日清戦争後の反動的不況で不安定な時代でしたが、人々のより良い暮らしのために電気鉄道をはじめとした近代的な生活様式への移行が必要と信じて工事を推進。「電気」という新しいエネルギーを用いた鉄道、大型ボギー車によるフリークエントサービスによって、大阪~神戸間を結びました。
開業当日の神戸停留場
電気鉄道を表すシンプルな社章
阪神電気鉄道の社章は、レールの断面を稲妻で囲むデザインで、電気鉄道の意味を簡明に象徴しています。阪神電車の開業当時、鉄道と言えば蒸気鉄道であり、電気鉄道は小型の市内電車や短距離の遊覧電車のみでした。日本で初めて、本格的な広軌高速による都市間大型電車を運行した会社として、電気鉄道であることを表す以外に、他社との識別の必要がなかった当時の特色がうかがわれる社章となっています。
阪神電気鉄道の社章
今も昔も阪神電車らしい「先進性」を追求
阪神電車は、短い駅間の走行に適した高加速度のジェット・カーの開発、大手私鉄初の全車両冷房化など、一歩進んだ「先進性」をお届けしてきました。5700系車両の立ち座りがしやすい“ちょい乗りシート”もその1つ。2025年4月からは、関西の鉄道会社では初めて、全線において実質的にCO2排出量をゼロとするカーボンニュートラル運行を開始。これからも、阪神電車らしい「先進性」を追求していきます。
ちょい乗りシート
120th アナザーストーリー
阪神初の大型特急車両3011形
戦前から大型高速電車の開発を考えていた阪神電車は、戦後、渡航が可能になるとアメリカ・カナダへ技師を派遣して技術調査・情報収集に当たり、1953年、満を持して阪神初の大型特急車両の建造を発注しました。こうして完成した「3011形車両」は、翌1954年8月の高校野球輸送でデビューし、9月からは梅田・三宮間を25分で走るノンストップ特急として運用されました。正面は視野角の広い流線形2枚窓という斬新な風貌で、車体の色はクリームと茶色のツートンカラー。大幅な軽量化を図るため、張殻構造(モノコック・ボディ)の車体は高抗張力鋼を全面的に使用し、台車は側受支持構造としたほか、直角ガルダン駆動による防音・防振台車とし、大型窓、ゆったりとしたクロスシート、蛍光灯照明、誘導無線電話などを装備した、当時の世界最高水準を誇る「先進性」を体現した電車でした。