灘五郷とは

日本一の酒どころとして
知られているエリア。

神戸市の西郷・御影郷・魚崎郷、
西宮市の西宮郷・今津郷の
5つのエリアの総称で、
大石駅周辺から今津駅周辺までの間に
26の清酒・みりんを製造する蔵元が
点在しています。

酒造りに最適の宮水が湧き出るほか、
酒造用原材料米の最高峰といわれる
山田錦の産地が近く、
全国の約25%の日本酒が
製造されています。

阪神電車、灘五郷酒造組合、
神戸市、西宮市では、
灘五郷を盛り上げる
様々な取組みを行っています。

キーワードから知る
灘五郷

人と自然がつくるお酒の話をご紹介します。

宮水

灘の酒を語るとき、欠かせないのが、江戸時代、山邑太左衛門により発見された「宮水」の存在。
六甲山系の伏流水が、かつて海だった西宮の地層から豊富なミネラルを取り込んで湧き出す――宮水は山と海の恵みを受けて生まれる自然がくれた宝物です。宮水で仕込まれた灘の酒は、「灘の男酒」といわれ、力強いキレが特徴。硬度が高い宮水のおかげでひと夏を越すとますます美味しくなることから、「秋晴れ」する酒と讃えられています。

山田錦

飯米の王様が「コシヒカリ」なら、酒米の王様は「山田錦」。
兵庫県は山田錦のふるさとで、その生産量は全国シェアの約六割を占めています。中でも六甲山北側の谷あいは、寒暖差の大きい気候と豊富なミネラルを含む土壌、そして人々の丹精込めた努力により、最高品質の山田錦を産み出すことで知られています。灘の酒蔵は生産農家と深い絆で結ばれ、最高品質の山田錦で酒造りを行っています。

丹波杜氏

丹波杜氏は、現在の兵庫県篠山市を中心とした地域を拠点とした酒造りの技能集団で、日本三大杜氏のひとつに数えられます。丹波地方の人々は、冬の間酒蔵へ出向き、高い技術力と結束力で灘の銘酒を造り上げてきました。世界中の酒の中でも、とりわけ複雑かつ繊細な日本酒造りにおいて、杜氏の存在はまさに「酒の神様の代理人」。人から人へ、技と伝統を受け継いできた丹波杜氏は、今も灘の酒造りに無くてはならない存在です。

六甲颪

六甲山系から吹き降ろす冷たく乾燥した風、「六甲颪」。
阪神タイガースの歌で有名なこの風も、良質な酒を生む「寒造り」には欠かせない自然の恵みの一つです。
かつての灘五郷の酒蔵は「重ね蔵」と呼ばれる寒造りに最適な構造になっており、冬は北面の仕込蔵を六甲颪が冷やし、夏は南面の前蔵が日光を遮って貯蔵庫を暑さから守っていました。
灘の酒は、山と海に囲まれた地形を活かし、知恵と工夫で自然と一体に醸されていたのです。

灘の下り酒

江戸時代、上方(関西)から江戸へと送られる産物は、「下りもの」と呼ばれる高級品でした。中でも、宮水で造られた高品質な灘の酒は、「下り酒」と呼ばれ、江戸中でもてはやされました。灘五郷の酒蔵は、海に近い地の利を活かし、樽廻船と呼ばれる船で迅速かつ大量に酒を送ることができたため、最盛期には江戸の酒の8割方が灘の下り酒で占められたといわれます。

お酒と神様

その昔、日本酒は神様に捧げる大切な供物として神社で造られていました。麹菌や酵母など、目に見えない微生物の働きにゆだねる日本酒造りの工程は、人の力の及ばない、どこか神聖で神秘的な世界。だからこそ酒造りに携わる人々は、お酒の神様に祈りを捧げてきたのでしょう。
日本全国のえびす様の総本社として知られる西宮神社でも、境内にお酒の神様である松尾神社と梅宮神社の末社が祀られ、灘の酒造家たちの篤い崇敬を集めてきました。毎年10月最初の土日には、宮水への感謝と新酒造りの成功を祈願して「宮水まつり」が催され、たくさんの人々で賑わいます。