阪神電車

project 未知への挑戦 プロジェクト

新規事業はひとつのアイデアから。登下校ミマモルメ

  • 小坂 光彦

    1994年入社
    新規事業推進室

    情報システム部(当時)でオープン系プログラマとしてキャリアをスタート。その後アイテック阪神(現:アイテック阪急阪神)、CM統括部、経営企画室を経て現部署にて「あんしん・教育事業」を統括。

  • 西岡 克馬

    1999年入社
    新規事業推進室

    入社後、不動産事業本部の建築担当として経験を積んだ後、経営企画室を経て現部署にて「登下校ミマモルメ」を統括。

PROLOGUE
子どもが登下校時に校門を通過することで、保護者に自動でメールが送信されるサービス「登下校ミマモルメ」。このサービスの画期的な点は、ランドセルなどにICタグを入れたまま利用できる点だ。ハンズフリーのため、従来のICカード式によるタッチ忘れがない。さらに自動メール配信によるプッシュ型通知であることから、保護者が意識しなくても子どもの登下校状況の把握が可能となっている。
「登下校ミマモルメ」は、社員による新規事業立ち上げをバックアップする「起業支援制度」がきっかけで生まれた事業だ。ひとりの社員が起業支援制度に草案を応募したことで、今や多くの小学校に導入されるに至った「登下校ミマモルメ」。その立ち上げと浸透までには、様々な紆余曲折があった。

小さなアイデアの芽から
新規事業プロジェクトが発足。

改札機を通過すると、その情報が保護者にメール配信される「あんしんグーパス」。「登下校ミマモルメ」は、そこから着想を得ている。小坂は「あんしんグーパス」の利用者から寄せられる感謝の手紙の数々を見るにつれ、このサービスをもっと発展させることができないかと考えていた。「これだけ社会に貢献している仕組みなら、もっと世に広めるべきだと思ったんです(小坂)」。
「あんしんグーパス」を利用するための大前提は、電車通学であること。自然と対象者は遠方の私立学校に通う子供たちとなる。この仕組みを公立小学校にも広めるためにはどうすればいいか。その考えのもとに、小坂は「登下校ミマモルメ」の骨子となる案を作成し、「起業支援制度」に応募した。「学校設備の設置費用はすべて当社負担とし、学校予算やPTA会費の拠出を不要にしました。さらに、忙しい学校の先生方の業務負担が増えないという点も重視してサービスを組み立てました。当面のターゲット層は、阪神沿線の公立小学校。安心できる街づくりの一環として、沿線価値向上にも繋がるので、いかにも鉄道会社らしい新規事業を提案できたという自負があります(小坂)」。
「起業支援制度」に応募した「登下校ミマモルメ」の骨子案は、会社に承認されるに至った。その結果、小坂は従来の業務に加えて、経営企画室で「登下校ミマモルメ」のプロジェクトを兼務することになった。

HANSHINの信頼感が
縁をつなぎ初受注に至る。

プロジェクト発足時に新規事業・沿線活性化チームに在籍していた西岡も、「登下校ミマモルメ」のプロジェクトに関わることになった。「2010年の5月に承認を受けて6月にはシステム稼働、7月にはモニター校の営業を開始しました。技術面の構築は非常に順調でしたが、一番大変だったのはその後でしたね(西岡)」。
当時「登下校メール」を導入していた学校は全国的に見てもごくわずか。「登下校メール」という概念自体が一般的に認知されていない状態でサービスを導入してもらうには、小学校を地道に訪問するしかなかったのだ。「それこそ、夏場は文字通り汗だくになりながら多くの小学校を訪問しました。使ってもらうことで初めて良さがわかるサービスですから、根気よく周知に努めることが欠かせなかったんです(小坂)」
そして、ようやくつかんだ初受注。導入の鍵となったのは、その小学校のPTA役員だった。「実は、私がかつて不動産事業本部で企画設計を担当した住宅を、その役員の方が購入されていたらしくて。住宅をとても気に入ってくださっていました(西岡)」。住宅担当時にPTA役員と直接の面識はなかったものの、HANSHINが手がける事業のクオリティの高さ、そして信頼感が受注に繋がったのだ。導入実績が1校でもあればサービスの良さをより伝えやすくなる。その後は、少しずつだが確実に受注が増えていった。

潜在的なニーズをつかんでいた
「登下校ミマモルメ」。

従来型のタッチ式のサービスでは、「タッチ忘れでメールが来ない日もあり余計に不安になる」という保護者の声が多かった。しかし、「登下校ミマモルメ」は、校門を通過すれば自動でメールが送信されるため、タッチ忘れそのものが起こらない。さらに保護者への通知の手段がメールなどのプッシュ型であることで、子供も保護者も意識せずともメリットを享受できるサービスなのだ。
「実際に利用していただくまでは大変でしたが、利用していただいた小学校では保護者、学校関係者ともに好評をいただきました。利用者が増えるにつれ、サービスの良さが口コミで広がっていき、徐々に『登下校ミマモルメ』という言葉が浸透していったんです(小坂)」「口コミで広がっていく様子を見て、このサービスは多くの方のニーズをとらえていたんだと実感しましたね。『これは世の中にとって必要なサービスなんだ』という自信にも繋がりました(西岡)」。

“事業の始まり”
それを創るのは、一個人。
軌道に乗ってからは早かった。今では芦屋、尼崎、西宮の全公立小学校が「登下校ミマモルメ」を導入している。2016年11月現在、神戸でも9割の公立小学校に導入されるという結果に。「私は、正解というものがないなかで事業を築いていくのが好きなんです。HANSHINに入社を考えている人たちも、入社後はぜひ積極的に新規事業を提案してほしい。そうすれば、きっと得がたい経験ができるはずです(小坂)」。
「登下校ミマモルメ」は、沿線内だけではなく沿線外への広がりも見せている。有料会員数は17万人を超え、同様のサービスを提供している事業者のなかでは、HANSHINが1歩リードしているという状況だ。「そのベースには、HANSHINブランドの安心感があると思います。個人が発案したアイデアとHANSHINブランドを融合することで、大きな成果を出すことができる。「登下校ミマモルメ」はHANSHINだからこそ生みだすことができたサービスだと感じています(西岡)」。
「登下校ミマモルメ」はこれからも技術の進歩やニーズに応じて、柔軟に変化を続けていく。時代ごとに最適なサービスを創出していくために、これからもHANSHINの挑戦が終わることはない。

次なる未知へ

新規事業を立ち上げるうえで最も大事なのは情熱です。いくら時間をかけて精緻に理屈や数字を積み上げても、携わる人間に情熱がなければ絶対に成功しない。「このサービスは社会に必要だ」という思いが自分の腹に落ちているかどうかが重要なんです。「登下校ミマモルメ」をベースに、これまで「登降園ミマモルメ」「ミマモルメGPSサービス」「まちなかミマモルメ」と展開してきましたが、今後も情熱を持って提供できるサービスを生みだし続けていきたいですね。

先輩からプロジェクトメンバーへ先輩からプロジェクトメンバーへ

これまで、ともに様々な局面を乗り越え、ともに喜びを味わえたこと、非常にありがたかったと感じています。これからも「阿吽の呼吸」で、世の中から感謝されるサービスを起こし、社会に定着させていきましょう!

小坂 光彦
新規事業推進室